私たちの老後の収入についてどうなるのか気になる方が多いと思います。昨年の10月に制度がスタートした401k
についてシリーズで紹介したいおと思います。
第一回 年金の制度について(H14−4−14)
日本の年金制度は、
大きく「国民年金」と民間サラリーマンの加入する「企業年金:厚生年金、税制適格年金」、
公務員の加入する「共済年金」に分かれます。これらは、給付が確定している「確定給付年金」となっています。
次に述べるように現在の年金制度を取り巻く環境がここ数年で大きく変化し、企業年金に関して「確定拠出年金」
を導入しようという動きが出てきています。
年金制度を取り巻く環境の変化としては、次のような状況があります。「公的年金」は、若年層が高齢者層を支える
仕組みを基本に成り立っています。ところが、少子高齢化の進展や、経済成長の鈍化により、このままでは現在の仕組
みが保てない可能性が出てきました。そこで、保険料の負担額の増額、給付額の減額、給付金の支給の先送りなど見
直しが始まっています。「企業年金」は、企業が従業員の老後のために任意で積み立てる制度です。積立不足の拡大に
よる追加負担額の増大、会計基準のグローバル対応による積立不足の顕在化、退職引当金の非課税枠の引下げによ
る引当金メリットの低下など、企業年金を取り巻く環境も厳しさを増してきています。企業は自己の収益力を考慮し、個人
は老後に備えて自助努力のウエートを上げていく必要性が出てきています。こうした背景のもと、企業も個人も責任を持
ち、労働市場の流動化に対応していくために確定拠出年金制度は始まりました。
「確定拠出年金制度」とは、拠出額は決まっているが、給付額は決まっていない制度です。「確定拠出年金(日本401k)」
は、毎月、一定額の掛け金を積み立てて運用し、その運用成績によって将来受け取る年金額が変動するという年金です。
加入者自身が積立金の運用商品を選択し、途中で商品を変更することができるため、個人による自己責任型の年金制度
といえます。
特徴としては、大きく捉えて下記の3つを挙げることができます。
(1) 運用成績がよければ将来の年金額が増えるというメリットがある一方、運用成績が悪いと給付額が減ってしま
う。そのリスクは加入者自身が負うことになる。
(2) 運用商品の選択は、加入者自身が行う。
(3) 転職や退職時(企業が倒産等)にも、加入者の資産として持ち運びが可能である(ポータビリティがある)。
「確定拠出年金(日本版401k)」を大きく分けると、企業が導入し、その従業員が加入するタイプのもの(企業型)。導入しない
企業の従業員もしくは自営業者が個人で加入するタイプのもの(個人型)があり、60歳以上、公務員、専業主婦は加入するこ
とができません。積立て期間中の運用利益には税金がかからず、よって効率的な複利運用を行うことが可能です。
また、年金を受け取る時も「公的年金等控除」の対象となるなど、税制面での優遇措置が考慮されることになっています。
また、将来、転職や起業を考えている人たちには「持ち運びが自由」ということがメリットになります。
参考資料 : 野村総合研究所レポート
第二回 年金の制度(その2)(H14−7−1)
● 加入者
掛け金を拠出する(支払う)企業の従業員だけではなく、拠出しない企業の従業員や、自営業者等も国民年金
基金等の運営管理機関を通じて加入できます。
● 掛け金の拠出
企業と個人の合計で年額43万2千円(自営業者等については81万6千円)の限度額が設けられています。
● 離転職時の移管
加入者の申し出に基づき年金資産は加入者が指定する運営管理機関に移管できます。企業が拠出した年金資産
についても3年以上勤続した者の分は移管が認められます。
● 運用主体
拠出した年金資金は、従業員勘定に保管され、従業員の指示に従って指定の運用機関が運用します。
●給付
60歳以降もしくは死亡のときから給付され、年金か一時金かを選択できます。
第三回 運営管理機関(H14−7−1)
運営管理機関って何?資産管理機関って何?
日本版401kでは、掛け金を拠出する企業や個人などが確定拠出年金を効率的、安定的に利用できるように、
さまざまな機関が協力して業務を行います。このうち、加入者にとっての窓口で、インターネットに例えると、ポータル
サイトの役割を果たすのが「運営管理機関」です。
運営管理機関の重要な仕事は
1 加入者に具体的な運用商品を提示すること。
2 商品についての仕組みや運用実績、利回り実績といった運用に関連する情報を加入者に提供すること。
以上が大事な業務です。 このほか、
3 加入者の運用についての指図を受け付け、これを実際に積立金を管理する資産管理機関や国民年金基金
連合会に伝える
4 加入者ごとに資産が現在どうなっているか、記録し、加入者に通知する
5 加入者が給付を受けられるかどうか、どのくらい給付を受けられるのかといったことを判断(裁定)する
といった業務もあります。
運営管理機関が運用商品を提示
確定拠出年金では運営管理機関が運用商品を提示したり、運用商品に関する情報提供を行います。
具体的にどのような情報を提供するのでしょうか。法律では提示した運用商品について「利益の見込み及び
損失の可能性、その他必要な情報」を提供するものとりあります。
「利益の見込み及び損失の可能性」とは、その運用商品のリスク(危険性)とリターン(利益)の程度のことです。
一般に、ハイリターンを期待しうる金融商品ほど運用リスクは大きいものです。つまり、ハイリスクであると言えます。
例えば株式は投資金額が二倍になる可能性があるが、元本がゼロになる可能性もあると言うことです。
これに対して預金は株式に比べればローリスク・ローリターンなのです。過去の運用実績に照らして、その金融商品
にはどの程度リスクがあり、どの程度の収益を期待できるか。それを加入者が判断できるような情報を運営管理機関
は加入者に提供する必要があります。ただし、当然のことながら将来の運用成績を保証することはできません。
「その他の情報」とは、その金融商品の設計など基礎知識や運用環境、例えば景気や為替・金利情勢についてさま
ざまな見方を提示することが含まれます。つまり、投資教育がなされているかどうかです。運営管理機関は加入者に対
して投資教育をどの程度行うべきなのでしょうか。これは確定拠出年金がスタート後、試行錯誤の中で次第に関係者の
合意ができてくるでしょう。
運営管理機関の選び方
企業型年金では企業などが自社で運営管理機関の業務を行うこともできますが、業務が専門的なことから、企業が専門
の運営管理会社を選んで、業務を委託することが多くなりそうです。個人型年金の場合は、加入者自身が運営管理機関
を選ぶことができます。
運営管理機関は企業や個人などから手数料を受け取り、収入とします。日本の場合、金融機関が預金や投資信託など
運用商品を確定拠出年金向けにも幅広く販売することを狙って、運営管理機関を相次いで設立しました。金融機関だけで
なく、グループ会社やコンピューター関連企業が出資するケースも目立っています。一方、個人型年金では、加入者自身が
運営管理機関を選びます。
このように、運営管理機関の業務は加入者にとって重要なだけに、誰もが自由に営めるわけではありません。法律では
(1) 金融機関(2)厚生労働大臣の登録を受けた法人だけが運営管理機関になることができます。もっとも、
(2) の場合、登録であって、免許や認可が必要とされているわけではありません。もちろん、登録には一定の条件は
備える必要はありますが、免許や認可に比べるとそのハードルは低くなっています。
事業会社であっても、厚生労働大臣に登録すれば、運営管理機関になることができます。また、代表的な確定給付型企業
年金である厚生年金基金も法人格があるので、登録を受ければ、運営管理業務ができるます。企業型の確定拠出年金の
場合、既存の確定給付型企業年金の上乗せ的な性格があり、また、両者の調整なども必要なことから、大企業などでは厚
生年金基金が運営管理機関になるケースも多いとみられます。金融機関は自らが運営管理業務を行うよりも、前でも触れた
ように、グループ企業と共同出資して、専門の運営管理会社を設立する例が目立っています。
注意したいのは運営管理会社にも2つの種類あることです。それは
1 運用商品の提示や情報提供を行う運用関連業務に特化した会社
2 加入者別の管理資産額の記録・通知などに特化した記録関連会社
の2つです。
前者については金融機関ごとに特徴を出さなければならないことから、グループ独自の会社を設立しています。しかし、
後者については、定型的な仕事も少なくないうえ、多額の設備投資も必要なことからグループの垣根を越えて、協力して
会社を設立する例もあります。
運営管理機関は法律によって加入者に対して忠実にその業務を遂行しなければならないと定められています。これを
「忠実義務」といいます。また、当然のことながら、業務上知り得た加入者の情報を目的外に使用してはいけません。
このほか、厚生労働大臣に対して、業務について定期的に報告する義務もあります。
企業や加入者個人が運営管理機関を選ぶ際は、運営管理機関としての業務に実績を持つところを選びたいものです。
現実には系列の会社を選択するケースも少なくないとみられますが、実績重視の選択が結局は加入者のためになることを
関係者は認識すべきでしょう。
掛け金は資産管理機関に積み立て 資産管理機関は運営管理機関と並ぶ重要な機関です。特に、企業型年金では
企業や運営管理機関以外と資産管理契約を結ばなければならないとされています。企業型では企業が掛け金を拠出して、
加入者が運営管理機関を通じて具体的な運用指図をしますが、掛け金の積立先を勤めている会社や運営管理機関以外
に設定しないと、加入者の資産と企業の資産とがきちんと分別管理されない恐れがあるほか、個人別の資産管理が効率的
に行われない可能性が出てきます。そこで、企業や運営管理機関以外と資産管理契約を結ぶことにしたわけです。
こうしておけば、仮に、勤め先の企業が破綻(はたん)しても、確定拠出年金の積立金はきちんと保全されることになり、
加入者にとっては安心です。企業型年金の資産管理契約は掛け金を拠出する企業と信託銀行、生命保険会社、損害保険
会社などとの間で結ばれます。
資産管理機関が金融機関と運用契約を結ぶ 資産管理機関にはほかにも重要な仕事があります。
運用商品を提供する金融機関と運用契約を結ぶのも資産管理機関の大切な業務です。確定拠出年金では加入者が直接、
金融機関と運用契約を結ぶのではありません。運用商品が数多くあるので、それを提供する金融機関といちいち契約していた
のでは加入者にとっては煩雑になります。そこで、資産管理機関が金融機関との契約を一括で代行する方法をとります。加入者
は運営管理機関を通じて運用指図を出し、それが資産管理機関へと伝えられて、資産管理機関はそれを基に、例えば、株式投
資信託を金融機関を通じて売買するといった運用を行います。また、実際に、給付金(年金)を加入者に支払うのも資産管理機関
の仕事です。給付の裁定(判断)は運営管理機関の仕事ですが、実際に加入者の銀行などの口座へ給付金を振り込むのは資産
管理機関の業務です。
運営管理機関と資産管理機関の選び方
確定拠出年金では加入者の積立金の運用対象となる商品が、預貯金、信託商品、株式、債券、投資信託、保険商品など多岐に
わたり、金融各業態が運用商品を提供することになるのです。それだけに、各業態の有力企業は企業や自営業者の団体などに
営業攻勢を強めており、さながら金融界の総力戦の様相を呈しています。
確定拠出年金で加入者に接する機会が多いのは運営管理機関です。それだけに運営管理機関に名乗りをあげる金融機関が多
くなっています。運営管理機関は加入者に運用商品を提示する「運用関連運営管理機関」と記録を管理する「記録関連運営管理
機関」に分かれます。このうち「記録関連運営管理機関」は事務的な仕事がほとんどなうえ、情報システムで多額の設備投資が必
要なことから、名乗りをあげるところは運用関連運営管理機関に比べて少ないのが現状です。しかし、運用関連運営管理機関は、
激戦区となりそうです。関係者は「100以上は名乗りをあげる」と見ています。
ただ、主な運営管理機関は絞られつつあります。運用関連運営管理機関では4大銀行グループの会社のほか、野村証券、大和証券、
日興証券の大手証券グループの会社が目につきます。日本確定拠出年金コンサルティング(東京三菱グループ)のように専門の
別会社を作るケースが多いですが、日本生命保険のように本体が自ら運営管理機関となるケースもあります。
各金融グループは系列企業を中心に加入者の囲い込みに必死です。競争は激化しているが、それはグループの結束を強化する
動きともいえます。
国民年金基金連合会の役割
確定拠出年金法では、個人型については企業型のように明確な形で資産管理機関を定めていません。あえていえば、国民年金基
金連合会が資産管理機関の役割を果たすとみていいでしょう。企業型では加入者の掛け金の拠出先となり、金融機関と運用契約を
結ぶのは資産管理機関ですが、個人型では国民年金基金連合会がその役割を果たします。国民年金基金連合会が運営管理機関
を通じて加入者が出した運用指図に基づいて金融機関に指示を出します。
個人型の場合、加入者が国民年金基金連合会に登録した運営管理機関の中から運営管理機関を選ぶ方法になります。国民年金
基金連合会は資産管理業務のうち、事務的な仕事は金融機関に委託するため、実際には資産管理機関のような仕事をするのは
事務委託先の金融機関となる見通しです。国民年金基金連合会は年金規約の設定など重要な役割を担います。
企業型の場合、資産管理機関は企業が選びますが、個人型の場合は掛け金の拠出先は国民年金基金連合会しかないので、加入者
にとって、選択の余地があまりありません。しかし、加入者としては、資産管理機関がきちんと仕事をしているかどうかをチェックすべき
です。自助努力型の年金である以上、運用先だけでなく、制度を運営する機関の業務内容にも目を配っておきたいものです。
参考資料 : 日本経済新聞
今後の予定